こべるん ~変化していく神戸~

再開発や超高層ビルの誕生によって変化していく神戸の街並みを追っています。

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海外探訪 IR(統合型リゾート) in シンガポール 

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今回は神戸ネタをお休みして、海外から学ぶ街づくりに焦点を当てたいと思います。今回はシンガポールです。ウォーターフロントに広がる大き過ぎない洗練された街並み、多国籍企業の集積、ビジネスと観光の両立等、神戸のお手本としてはピッタリな都市国家です(iPhoneでの撮影なので画質は大目に見て下さい)。

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シンガポールの中枢であるダウンタウンコアの対岸に完成したIR(統合型リゾート)であるマリーナベイサンズ。2010年に竣工した都市型リゾート施設です。超高層ホテルタワー3棟を船を模した空中庭園「サンズパーク」で連結した地上57階、高さ200mの威容はシンガポール観光の象徴的存在です。

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ホテル室数は2,561室、低層部には世界最大級のカジノの他、17万平方メートルのコンベンション施設やショッピングモール、美術館、シアターも備える巨大複合施設であり、屋上にはシンガポールを空から望む全長150mの宿泊者専用プールも備わります。SMAPの出演していたソフトバンクのTVCMを思い浮かべる人も多い事でしょう。つい先日、IR施設の舞洲誘致を目指している大阪市長もこの施設を見学に訪れたばかりです。

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低層部の高級メガモール内の様子です。複層吹き抜けの開放感溢れるダイナミックなモールで超高級インポートブランドからグルメまで何でも揃います。

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中央には運河が流れ、ゴンドラが浮かびます。ラスベガスやマカオの高級カジノホテルを彷彿とさせ、来街者を楽しませます。バブル期の日本でもここまでゴージャスな商業施設はありませんでした。

カジノに入らなくても十二分に楽しめる施設になっています。

神戸はIRには消極的です。正直、神戸と横浜程、IRが立地するのに相応しい都市は日本には他に無いのでないかと思っています。海外の多くのカジノやIR施設も大概がウォーターフロントにそのロケーションを求めています。昨日取り上げた新港地区の開発には打ってつけではないでしょうか。観光資源にインパクトのない神戸が起死回生を狙いたいのであれば、IR施設誘致に名乗りを挙げないのは矛盾しています。カジノはギャンブルであり、依存の懸念云々を語るのであれば、競輪、競馬、オートレース、パチンコは全面撤廃、禁止にすべきです。もしマリーナベイサンズの様な複合施設が第2突堤に出現すれば、クルーズ船就航も、関空からベイシャトルで訪れる観光客も大幅増になるに違いありません。

少なくともポートピアホテルを建設した頃の神戸にはその気概と勢いがありましたね。

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元々、国土の狭いシンガポールは観光資源にも不足していましたが、あの手この手で集客を募る手立てを次々と講じています。マリーナベイサンズの後方に広がる巨大植物園「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」。54ヘクタールに及ぶ広大な敷地に6つの施設が開業。まるで風の谷のナウシカに出てくる王蟲を思い起こさせる巨大な温室は圧巻です。また中央に複数聳える巨大ツリーは18本あり、複数本を結ぶ空中回廊からはシンガポールの街を一望できます。兎に角、シンガポールには富がが集まっている事を誰もが体感するでしょう。

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マリーナベイサンズの屋上庭園から望むダウンタウンコア。金融センターとして金融機関の超高層オフィスビルやホテル、コンドミニアムが林立します。シンガポールは香港と違い秩序のあるスカイラインの形成を目指している為、280mの高さ規制があるので、現在、最も高いOUBセンター、UOBプラザ、リパブリックプラザの3棟がMAXの280mに達しています。秩序ある超高層ビル群は美しいものです。

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ウォーターフロントの整備も美しく無駄がありません。マリーナベイに沿って続く3.7kmのウォーターフロントプロムナードはマーライオン公園からマリーナベイサンズまでの湾岸を半周することができます。道沿いにコンサートホールや巨大な観覧車もあり、潮風に吹かれながら水辺に広がる高層ビル群の風景を楽しめます。日本の都市は中心部に最も近いウォーターフロントを倉庫街や荷揚げ、荷捌き場にしてしまって魅力的な環境を整えてきませんでした。

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世界経済フォーラムが発表した最新の競争力ランキングでは1位はスイス、そして2位にシンガポールが続きます。日本は昨年6位から後退して8位。チューリッヒやジューネーブ等のスイスの主要都市やシンガポールも国策によって多国籍企業の拠点が集積しており、非常に国際的です。国際空港も中心部から身近にあり、英語がどこでも通じます。真の国際都市とはこういう都市を言うのだと痛感します。

神戸がこれらの都市と互角に張り合うのは難しいかもしれません。しかし1歩でも2歩でも近づけるよう何ができるのかを考えなければなりません。神戸市や市長についてはスマートに小さくまとまらないで欲しい。泥臭くても良いから貪欲に大きな野望を描いて欲しい。神戸の抱える閉塞感を払いのける為、大胆に10年以内に三宮・都心再整備を完了させる位の猛烈な気概を持って事にあたって欲しい。シンガポールの街を眺めながら、そう思いました。

category: 海外

2016/09/29 Thu. 06:03 [edit]   トラックバック: 0 | コメント: 14

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ドイツ・フランクフルトに見る神戸の未来 

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暫く更新が滞ってしまいました。実はこの約2週間、仕事で欧州へ行ってきました。ほとんど余暇の時間はなかったのですが、唯一、ドイツ・フランクフルトでフリーの時間があったので、市内見物をしてきました。

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フランクフルトはドイツ国内の中でも異質の街で、唯一、中心部に超高層ビル群が聳えている都市です。金融と交通の要衝として発展したこの街はパリのラ・デファンス、ロンドンのシティと並ぶ欧州随一の高層ビル街を有しています。フランクフルトの正式名称はフランクフルト・アム・マイン(マイン河畔のフランクフルト))と言うそうです。市中心部のビル群はNYのマンハッタンを文字ってマインハッタンとも呼ばれています。

滔々と水をたたえるマイン川の畔に広がる街はそこまで大きくないので、中心街は十分に徒歩で歩ける範囲に収まります。

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200mを越える超高層ビル群の中でもひと際高いのが、コメル銀行タワー。地上56階建 高さ258.7m(アンテナ部を含めると300.25m)。長い間、欧州一の高さを誇っていました。その名の示す通り、ドイツ・コメルツ銀行の本店ビルです。

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フランクフルトには他にドイツ銀行、DZ銀行、KfW銀行グループ(ドイツ四大銀行)、ドイツ連邦銀行、フランクフルト証券取引所等が本拠を構える国際金融都市です。

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またEU加盟17ヶ国の金融政策を担う欧州中央銀行もフランクフルトに本店を置いています。EUを表すモニュメントの背後にあるシルバーのユーロ・タワーに本店が置かれています。2008年竣工予定で、欧州中央銀行本店ビルがフランクフルト市内に計画されていましたが、プロジェクトは延期されて目下建設中です。年内には移転予定のようです。

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交通の要衝でもあるフランクフルト。その拠点の一つがフランクフルト中央駅。ヨーロッパ最大級のターミナル駅の1つであり、1日の乗降客数は約35万人とドイツ最大。

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フランクフルト中央駅周辺は商業街でその先に金融センターのビジネス街とショッピング街が開けます。全ての建物がモダンな高層ビルではなく、古い街並みも残されており、新旧のコントラストが美しい街です。

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典型的な伝統を守る欧州の街ではないだけに、時に批判に晒されたり、ドイツで最も面白味のない街と揶揄されることもあるようです。しかしながらロンドンやパリも再開発による街の近代化は進められており、以前よりも街中にモダンな建物や高層ビルが急増しているのも事実です。

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古い建物を保存し、街並みを統一していくことは素晴らしいことですが、これは利便性と効率を犠牲にしなければ成り立ちません。空間の限られた都市で、低い建物に固執してしまうと、街は水平方向にしか広がりようがなく、老朽化した建物の維持費用も高くつく他、地価も高騰しがちです。

フランクフルトの街を歩いていると、ある意味、神戸の将来像を思い浮かべます。

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旧居留地を彷彿とさせる街並みにも出会いました。

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水辺は緑の絨毯と木々、遊歩道で美しく整備されています。市民の憩いの場として、多くの人々が芝生に寝そべって思い思いの休日を過ごしていました。川辺と海では異なる面はありますが、やはりコンクリートの護岸で固めるだけでなくこうしたより自然に近い親水空間のほうが魅力的です。

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また写真のような船上レストランも水辺の活性化に貢献すると思います。クルーズ船だけが船の利用価値ではないということですね。神戸港内も普段は波も穏やかですので、こうしたレストラン船があっても良いのではないでしょうか。

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フランクフルト随一のショッピング街であるツァイル地区に構える大型百貨店「ガレリア・カウフホーフ」。周辺地区は再開発によって次々と新しいビルや店が誕生しています。ドイツのデパートはどことなく日本の百貨店に造りが似ています。

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ツァイルは幅が100m近くある歩行者専用通りで、600mに渡って両側に百貨店や商業ビルが軒を連ねます。ドイツの大都市ではこういった巨大な歩行者天国のショッピング街が定番のようです。

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ツァイルに程近いこの通りも車道は一方通行で車両1台分の幅員。両側の歩道はその何倍もあります。神戸の旧居留地も歩道の幅員を拡張しましたが、これ位の思い切りがあっても良いかと思います。

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神戸をはじめ、全国の都市で導入が検討されているLRT。フランクフルトでも市民の足として大活躍しています。電線が蜘蛛の巣状に張り巡らされている訳でもなく、非常にすっきりとしています。フラワーロード、京町筋や鯉川筋等を通ってウォーターフロントと都心を結ぶ交通手段として最適です。

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金融街のど真ん中。この一帯に集中して高層ビルが林立しています。ちなみにフランクフルト中心部には200mを越えるビルは5棟、150mを越えるビルは14棟、100m越えが30棟あります。

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帽子を被ったような不思議なビル。どことなく神戸のNTT西日本神戸中央ビルに似ているような・・・。実はこのビル、ジャパンセンターと言うそうです(地上27階 高さ115m)。日本の灯篭をモチーフにしたデザインということで、実際に在フランクフルト日本総領事館もこのビルに入居しているそうです。その隣の円筒形のガラスのタワーはマインタワー(地上56 階 高さ200m)。帰国後知ったのですが、このビルの屋上は無料展望テラスがあるそうです。登りたかった・・・。

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フランクフルトにはガラス張りのタワーが非常に多いです。

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一見、高層ビルが乱立しているかのようですが、そこはやはり欧州。高層建築を建てられる場所は規定区域のみです。旧市街には1棟も見当たりません。旧時代の高層建築が聳えるのみです。一際高いのがバルトロメウス大聖堂。尖塔までの高さは約100m。

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レーマー広場は旧市街の中の市民の憩いの場です。歴史的建築物が軒を連ねています。この辺りはやはり欧州らしさを感じます。

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新旧のメリハリがきっちりとしています。パリのラ・デファンスも一部のエリアのみ規制を緩和して集中的に高層ビルを誘導する形でビジネス街を形成しています。ロンドンはシティやカナリーワーフのように限定された再開発地区に超高層建築を集約していましたが、最近は再開発が目白押しで次々とあちらこちらに高層ビルが増えているようでした。

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夕暮れに染まるフランクフルトのスカイラインです。

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神戸市は今になって都心部や一部の副都心を除く市街地エリアに高層建築を制限する条例を設けました。かと言って都心部にも中途半端な高さ規制を敷き、雁字搦めで方向性や主体性のないルールを課しています。大阪都心部では規制緩和の方向で動いており、この景気高揚に乗って、都心再開発が加速化している中で、神戸の都心部は三宮地区の期待が高まりつつも、いまいち投資意欲に火がついていない気もします。

フランクフルトの街も全てが完璧であるわけではありません。フランクフルト中央駅周辺はかなり治安が悪そうなエリアも見受けられました。しかし、活気漲る世界的な経済の中心であり、メリハリのある市街地再開発、水辺の有効活用、空港・鉄道による交通の要衝化、LRTと地下鉄の交通網等、神戸が学ぶべき要素に満ち溢れており、ある意味、神戸が将来目指すべき姿の一例である気がしました。


category: 海外

2014/05/31 Sat. 18:47 [edit]   トラックバック: 0 | コメント: 2

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